書籍詳細
- タイトル
- おおさか発 地域福祉実践論
- サブタイトル
- 今川ボランティア部
- 上野谷加代子 / 竹村安子 編著
- あらすじ
- 大阪・今川地域を拠点とする「今川ボランティア部」の活動の歴史を通して、大都市部における小地域ボランティア活動の喜びと苦悩をつづる。また、「学び」の構造を視野に入れ、関連支援組織のあり方など、近未来社会の地域支援ネットワークとボランティア活動を提案する。
- 判型/頁数
- 四六判/240頁
- 価格
- 1,800円(本体価格 1,714円)/ 在庫 なし
- isbn
- 4_86050_019_9
- 出版日
- 2004.6.30
刊行によせて
大阪府立大学名誉教授/日本地域福祉学会顧問 右田 紀久惠
かねてから「今川地域」に関心と期待をもち、その活動にエールを送り続けているだけに、このたびの出版は時宜にかなったものと思っている。
一方、内発性と膨らみをもって継続、展開する活動に思いを馳せると、限られた紙数で括るのは?もったいない?という思いもまた否めない。
小学生時代から、私にとって身近であった「今川」の今日にいたる実践は、他とどこか違って見えている。その一つは、地域人とでもいうべき市民の登場である。旧さをも呑み込んだ新しいタイプの地域人による?自分たちの時代?を語っている。
自分の住んでいる地域を大切にしている人々の他者への配慮、内発性、自己組織化やマネージメント、そしてワーカーも社会福祉協議会も行政も企業も巻き込んでゆくダイナミックな動きは、公共私民協働や機能的ネットワークという表現では語りつくせないものがある。それは都市格に対応させた「地域格」とでも呼びうる今川地域の品格に違いない。
また、目前の現実をしっかりと見極め、自分たちの身の丈で届く範囲の改革、開拓を段取りよく手がけるとともに、自発性と、意識的な仕掛けとを絶妙に織り込んでゆく活動に畏敬の念を抱きつつ、大阪人のセンスを感じるのである。
私は以前から、「“まちづくり”は“自分づくり”」だと提唱してきたが、「今川地域」の活動は、「“まちづくり”は“自分づくり”であり“人も育てる”」と修正を迫っている。ワーカーもボランティアも研究者さえも、地域に関わる人々が相互に育ち合い、縦横幅の成長を続けているのである。
こうした実践は、ケアの根源的な意義や価値の具現化であると言っても過言ではない。高齢者から子どもたちにいたる多様な活動は、配慮・気遣い・関心というケアの本来的な価値と意味を地域に根づかせ、「生活文化」として開花させているからである。
「今川地域」は二一世紀の貴重な共有財産(公共財=Common Goods)を大阪に創り出し、多くの示唆と視座を私たちに与えてくれている。
本書の刊行が地域福祉のみならず、ひろく関係分野に刺戟を与え、貢献するに違いないと期待している。
日々に「進化」する「今川地域」が、さらに「深化」してゆくことを確信して、これからもエールを送り続けたい。
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