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書籍詳細

タイトル
コミュニティソーシャルワークと自己実現サービス
サブタイトル
新たな理念の具現化と地域福祉実践の展開に迫る
編著役者名
大橋謙策 / 千葉和男 / 手島陸久 / 辻浩 編
あらすじ
福祉サービス利用者が一般の地域住民と同じように暮らし、自立した生活を営むためには何が必要なのか。介護者・要介護者の自己実現とその援助技術としてのコミュニティソーシャルワークをキーワードに位置づけ、21世紀の社会福祉のあり方を模索する。
判型/頁数
A5判 / 383頁
価格
3,780円(本体価格 3,600円)/ 在庫 あり
isbn
4_924706_87_6
出版日
2000.8.28

「はじめに」

日本の社会福祉は2000年5月の社会福祉事業法の「社会福祉法」への改正を経て、新たな段階に入ったといえる。従来の社会福祉事業法が社会福祉を経営する者、社会福祉サービスを提供する者の立場からそのあり方を規定していたのに対し、改正された「社会福祉法」は社会福祉サービス利用者の保護の立場を明確にし、地域福祉の推進こそがこれからの社会福祉のあり方であることを法文上明らかにした。このような考え方が法律上明文化された意味は大きい。

改正された「社会福祉法」では、第三条で「福祉サービスは、個人の尊厳の保持を旨とし、…(中略)…その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援するもの」と規定したり、第四条において「福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられるように、地域福祉の推進に努めなければならない」と福祉コミュニティの形成の必要性を指摘している。また、第五条で「提供する多様な福祉サービスについて、利用者の意向を十分に尊重し、かつ、保健医療サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図るよう創意工夫を行いつつ、これを総合的に提供することができるようにその事業の実施に努めなければならない」とも明記している。これらの改正内容の規定は、まさにノーマライゼーションの考え方を示すものであり、福祉サービス利用者が普通の地域住民と同じような生活リズムをもち、生活を過ごすことの必要性を述べているものであり、地域での自立生活を支援するためには、その人の生き方や考え方を尊重して、社会サービスの視点から総合的にケアプランを立てて援助するケアマネジメントの考え方を示したものである。

このような「社会福祉法」に盛られた考え方は、本書を執筆した研究会のグループが一貫して追い求めてきた課題であった。それだけに、本書の刊行と「社会福祉法」の改正とが時期を同じくしたことに、ある種の感動を覚えるものである。

本書は日本社会事業大学・社会福祉学部・福祉計画学科の地域福祉コースに所属する教員(大橋謙策、千葉和夫、手島陸久、辻浩、原田正樹)の共同研究の成果である。また、本書は平成7(1993)年から厚生省・老人保健健康増進等事業による研究助成を頂いて研究してきたものの成果である。日本社会事業大学は講座制の研究組織でなく、学科目制の教員組織であるために、ついつい教員個人が独立して研究と教育に従事しがちである。しかしながら、本書の基になった共同研究は地域福祉コースに所属する教員が各々の研究方法や研究分野を活かしつつ、共通の研究課題に迫ろうとしたものであった。基本的なスタンスはこれからの社会福祉が在宅福祉サービスを軸にした地域福祉の展開を市町村ごとに推進していくことになるであろうと考え、ある教員は地域における保健・医療と社会福祉との関係を踏まえた地域トータルケアシステムづくりやそのケアマネジメントのあり方について研究する、ある教員は市町村において地域福祉を推進するとなると、そこの住民の学習や自己実現をどう豊かに促進するかが課題になると考え、また別の教員はそれら地域福祉を推進するための社会福祉援助技術のあり方について論及する等、各々の研究領域をいかした共同研究を行ってきた。その結果、共同研究のキーワードは個人の尊厳、介護者・要介護者の自己実現とそれを実現させる社会福祉援助技術としてのコミュニティソーシャルワークという二つのキーワードに収斂されることになった。この二つのキーワードは従来の社会福祉サービスを見直し、新しい「社会福祉法」の理念の具現化に欠かせないものであると考えている。

また、これらの共同研究は共同研究した教員が日常的に深く関わり、社会福祉研究のフィールドと位置づけている全国各地の市町村の社会福祉行政担当者及び社会福祉協議会職員との共同研究でもあった。社会福祉の分野において、数年間にわたって、大学の教員と実践現場の職員とが共同研究するスタイルは学科目制の教員・研究組織では難しいのが現状である。しかしながら、この共同研究は厚生省の研究助成により、毎年テーマは変わったものの、結果として継続的に共同研究を進めることができ、共同研究をして頂いた市町村の地域福祉実践の向上にそれなりの寄与ができたのではないかと自負している。

この実践現場との共同研究の場に日本社会事業大学の大学院生を多数参加させることができ、理論研究の面からも、研究方法の修得上からも、あるいは社会福祉実習上からも大学院教育に大きな意味がある機会となった。共同研究当時は大学院生であった人たちにも本書では執筆して頂いたが、それらの人々がその後大学の教員として就職していったことを考えると、この共同研究の果たした意義は大きい。

本書を刊行できたのも厚生省老人保健健康増進等事業による研究助成があったからであり、改めてここに感謝の意を表したい。また、共同研究に参加して頂いた各地の市町村とその社会福祉協議会にも多大のご協力を頂いた。その関係者の氏名を一々挙げることはできないがここに感謝と御礼を申し上げる次第である。さらには、本共同研究と本書が刊行できたのも日本社会事業大学・社会事業研究所のご支援・ご協力があったからである。取り分け、古館幸子さんには大変お世話になった。改めて御礼と感謝を申し上げる次第である。

2000年8月9日

編集者を代表して
大 橋 謙 策

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